アメリカのインチ、ポンドによる計量法をお願いだから誰か何とかしてくれ!
2017/06/08
さて、このブログでは、修理や工作をテーマにしているが、アメリカで色々、電気製品の取り付けや車の修理、あるいは木を切ったり穴を開けたり、長さを測ったり、面積を出したり、背中をかいたりあくびをしたりしていると、日米の規格の違いについてだんだんわかってきた。そしてそれがとんでもなく不自由だということが判明してきたのだ。
まず商用電力の電圧は、110Vだ。このせいで、今まで日本で使っていた電気工具が使えない。はんだごても、丸のこもジクソーもドリルも使えない。私が製作したオーディオアンプも使えない。まあ、これは致し方ない。110Vのほうが100Vよりもわずかだが、大きなパワーをある。それなりの合理性を認めよう。
問題は計量法だ。
アメリカでは長さの単位にインチ、フィート、ヤード、マイルを使っている。
1インチは約2.5センチだ。そして、1フィートは12インチ、1ヤードが3フィート、1マイルが1760ヤードである。
なんじゃそりゃ。
日本であれば、センチメートルをメートルに、メートルをキロメートルにするのに電卓を使う人はいないが、アメリカじゃ電卓を使わないと、換算ができない。もう、この時点でアウトだが、さらにアウトな話がある。
1インチより少ない単位をどう表現するかというと、、、1インチの半分は0.5インチではない。1/2インチと呼ぶのだ。つまり、2の乗数を分母にして分数で呼ぶのだ。3/8インチとか、5/16インチとか呼ぶのである。1/32で1ミリより小さい長さを表現することになる。
私はすでに中年期の終わりに近づいてきているが、お恥ずかしながら、ごく最近、初めてそのことを知った。にわかに信じられなかったが、これはうそではない。その証拠にこちらの定規を見てほしい。
アメリカ人はよほど10進法が嫌いらしい。
ボルトの規格もインチに基づいている。私が持っているソケットレンチセットは小さいほうから、並べると
5/32 3/16 7/32 1/4 9/32 5/16 11/32 3/8 13/32 7/16 15/32 1/2、、、と言う感じになっている。小さいほうから順番に並べた結果がこれだ。
どれがどれより大きいのか、にわかにさっぱりわからんじゃないか。
ドリルビットはもっと細かいぞ。
1/16 5/64 3/32 7/64 1/8 9/64 5/32 11/64 3/16 13/64 7/32、、、てな感じで、要するに1/64づつ大きくなっていくのだが、やはりこっちも、1/8と7/64がどっちが大きいかって、にわかにはわからんじゃないか。
へんに約分してしまうからわからなくなるのだ。せめて分母を32もしくは64で統一してくれればいいのに。
アメリカの職人さんたちは、このややこしいレンチやビットを使いこなしているのだろうか。
さらにややこしいのが、実はアメリカでは、ミリメートル法も併用しているということだ。
米国産のホンダオデッセイは、メートル法の規格を採用している。要するに、アメリカにおいては、インチ法がメインの計量単位だが、メートル法の規格も併用されているのだ。ウォルマートのなどのスーパーの道具売り場には、インチ法の道具しか置いていないが、ホームセンターに行くと、ミリメートル法の道具がインチ法のものと同格に並べておいてある。ツールセットなども、インチ法とミリメートル法の両方のソケットレンチをこれみよがしに入れているものも少なくない。先の話に出てきたロウズ君もインチ法とミリメートル法両方入った、立派なディープソケットセットを持っていた。
ということで、私も、インチ法のソケットレンチセットを持っていたが、オデッセイのセルモーター交換の際に、改めてミリメートル基準のソケットレンチを購入しなければならなかったのだ。
話が長く、さらにややこしくなるので、重さや容量の単位の話は詳しくはしないが、アメリカの計量法は重さも容量もそれぞれの基準をもっている。オンスもガロンも何も関連がない。それに引き換え、メートル、グラム法のわかりやすさといったらどうだろう。小学生の時に、10センチ四方の立方体、つまり1リットルの容器になみなみと満たした水の重さが約1Kgと教えてもらったときの感動はいまだに忘れがたい(ような気がする。) なんという美しき合理性だろうか。
いわゆるインチ・ポンド法の計量単位を採用しているのは、先進国の中では、アメリカくらいらしい。それはそうだろう、あまりに合理性に欠ける。アメリカでも、インチ、ポンド法の弊害はわかっていて、時として、メートルや、グラム、リットルを採用してみたり、しばらくしてまた戻ったりの繰り返しらしい。既存の建築部材がインチ、フィートを基準にできているので、計量単位を変えるとまたややこしくなってしまうのだろう。
これはこれで便利なことは認める。たとえば、ツーバイフォー、という木材はそれ自体がひとつの規格だ。床のタイルの1辺は1フィートなので、タイルの数を数えたら、スクエアフィートを簡単に測ることができる。しかし、である。
しかし、ここは思い切ってメートル法に変えるべきだ。トランプ大統領は自国の経済の発展を望むのであれば、メキシコとの国境に壁を作ることを考える前にこの独善的で、ややこしい計量単位を変えることを先に行ったほうがいい。こんどトランプに会う機会があれば、言ってやろうと思う。(トランプ大統領が4年の任期を全うできるか、あやしくなってきているが、、、)